2023年(第24回コンクール)IPMカトヴィツェ賞受賞 光山 大輝さん[2023年7月渡航]

はじめに

ご覧頂きありがとうございます。私は、7月8日から2週間、ポーランドのカトヴィツェで開催される、マスタークラスを受講して来ました。現地での様子や、感じたこと等をお伝え出来たらと思っています。最後まで、読んでいただけると嬉しいです。

ポーランドの空気

私自身、1人で海外に行くのは初めてのことで、とても緊張していました。ですが、その緊張と同じくらい、楽しみな気持ちもありました。なぜなら、私はショパンという作曲家が大好きだからです。そんな大好きな作曲家の故郷ポーランドに行けることは私にとって、とても幸せな事でした。
私は、関西国際空港からドバイ経由で、ワルシャワ空港に行きました。そこから、カトヴィツェという都市までは、電車で向かいました。肌で感じるポーランドの空気は、全てが新鮮で、とてもワクワクしたのを今でも覚えています。街並みが、日本とは大きく違っており、特に建物が印象的で、街を歩いているだけでとても新鮮な気持ちになりました。
電車のことで1つお話をすると、開閉音がショパンのノクターンであったということです。電車の中までも、ショパンに染まっていて、私はとても驚きました!
カトヴィツェという都市は、首都のワルシャワに比べると、雰囲気が長閑で、とても落ち着きのある場所でした。アットホームな感じの雰囲気が私は大好きでした!
大学の中は、閉塞感が無く、天井が高くて本当にオープンな大学でした。風や外の空気を感じることができ、より伸び伸びと音楽を楽しむことができました。

カトヴィツェ駅
ワルシャワ・ショパン空港のストリートピアノ
シマノフスキ音楽院

マスタークラス

私は、2週間、マスタークラスを受講させていただきました。そのため、3人の先生に2回ずつ、そして、2人の先生に1回ずつの、計8回レッスンを受講しました。1週間目は、ポロネーズ、ワルツ、バラードを見ていただきました。私自身、このマスタークラスで「リズム」に関して、詳しく学びたいと事前に思っていたので、とても勉強になりました。特に、ポロネーズに関しては、ショパンが一番最初に作曲した作品でもあり、ポーランドを代表する民族舞踊であることから、リズムの着眼点が鋭く、細かくレッスンをしていただきました。2週間目は、マズルカ、エチュード、そしてもう一度バラードを見ていただきました。1週間目のレッスンでもそうでしたが、横で先生が弾いてくださるピアノの音を聴くだけでも、勉強になり、どうしたら先生のような美しい音色が出せるのだろうと、真剣に考えました。そして腕の使い方や、体の使い方を学びました。また、マスタークラスのため、他の学生のレッスンも聴講が出来ました。他の学生の演奏は、私にとってはとても勉強になりました。自分が練習している曲と同じ曲のレッスンであっても、その人の解釈と自分の解釈は全然違っていたり、音の出し方も違いました。そこに、面白さがあり、レッスンの聴講はとても面白かったです。そして、みんなそれぞれ、日々努力をし、ピアノに向き合っているということも知りました。だからこそ、それぞれの音楽があり、互いに刺激し合えるのであると思いました。

受講生コンサートにて
カロル・シマノフスキ先生と一緒に

ショパンの軌跡

私は、レッスンがない日にワルシャワに観光へ行きました。1日で帰ってこないといけなかったので、ショパン博物館と聖十字架教会の2つの場所を訪れました。ショパン博物館で、私が特に印象に残っているのは、自筆譜です。ショパンの自筆譜は、とてもと言って良いほど、1つ1つ丁寧に書かれていました。ショパンに限らずですが、作曲者たちは、1曲を完成させるのに、何日もの時を費やし、修正をし、また思いをつめこんでいる分、私たちがそれを理解するには、それ以上の取り組み、時間が必要なのだと感じました。当たり前のことだとは思いますが、ショパンの自筆譜を見て、私はそう感じました。だから、これからは、楽譜をもっと深く読んで、作品を理解することが大切であると感じました。聖十字架教会では、ショパンの心臓が眠ると言われる柱を見学に行きました。写真では何回か見たことはありましたが、実際に行くと、神聖な場所で、緊張感がありました。心臓だけは、ポーランドに残して欲しいというショパンの思いが叶い、こうして聖十字架教会に今でも残っていると思うと、感慨深いものがありました。

ワルシャワのランドマーク「文化科学宮殿」
ショパンコンクールの開催される「ワルシャワフィルハーモニーホール」

最後に

ショパンは、現代になってもポーランド国民から沢山愛されているということを知り、改めて素晴らしい作曲家だと思いました。そして、マスタークラスでは、レッスンの他にも、沢山の優しい仲間たちにも出会い、充実した2週間を過ごすことができました。ここで学んだ経験を、これからの私の演奏に生かしていけるよう、精一杯頑張っていきます。この度は、このような貴重な機会を頂き、本当に感謝しております。
最後まで、お読みくださり、ありがとうございます。