はじめに
ご覧いただきありがとうございます。僕は、7月20日から26日まで約1週間かけてポーランドのカトヴィツェ音楽院で行われた、第15回カトヴィツェ国際ピアノマスタークラスに参加してまいりました。その際の様子を順を追って紹介していこうと思います!
成田からワルシャワへ!
成田空港を7月18日の夜に出発し、ポーランドのワルシャワ・ショパン空港に現地時間で19日の午前6時くらいに到着しました。約14時間のフライトでした。カトヴィツェ行きの電車の出発時刻まで時間があったので、ワルシャワ中央駅付近で、しばらく観光をすることにしました。ワルシャワ中央駅付近は高層ビルが多く、地下鉄やトラム、バスも多くて、発展している様子でした。
まずは、ショパンの心臓がおさめられている、聖十字架教会へ向かいました。非常に歴史の感じられる立派な建物で、シャンデリアや金箔の豪華さに圧倒されました。そして、ショパンの心臓が収められている1本の太い柱を発見しました。僕はその時、ショパンの曲を演奏する際、楽譜の背後にはこの心臓があること、ショパンという偉大な作曲家が書いたことを強く意識しなければならない、と感じました。
次に、ショパン博物館を訪れました。ショパンの周辺人物や生前使用していたピアノなど多くのショパンにまつわることを見学しました。よりショパンに近づけたような感覚がして良かったです。

ショパンの心臓がおさめられている場所

ショパンが生前使用していたピアノ
いよいよマスタークラスへ!
19日の午後にカトヴィツェ駅に到着して、20日からマスタークラスが始まりました。僕は、ズビグニェフ・ラウボ先生とヴァレンディナ・イゴシーナ先生のお2人の先生に2回ずつ、計4回のレッスンを受講しました。ショパンのエチュード、マズルカ、ワルツ、スケルツォなど、様々な作品をレッスンしていただきました。ラウボ先生のレッスンでは、ワルツが特に印象に残っており、ショパンの別の作品とワルツの違いを説明してくださったり、実際に1曲通して僕の隣でお手本を示してくださったりしました。また、それぞれのホールの音響の違いによって休符の取り方を変えることの重要性も説明してくださりました。イゴシーナ先生のレッスンでは、レガートの厳密さや、マズルカのリズムの特徴を重視されていて、自分の演奏の甘さに気付かされました。そして、他の参加者が受講しているレッスンを聴講することができ、他の人たちの頑張りも拝見することができました。また、寮の中では、レッスンの復習をしたりしました。1人で過ごす寮の時間は、自分の音楽について考えるのに最適な場所でした。

カトヴィツェ音楽院
マスタークラス中のコンサート
22日には、参加者コンサートに出演させていただく機会をいただき、ショパンのスケルツォ第3番を演奏させていただきました。うまくいかない箇所もありましたが、数人の参加者の方が演奏を褒めてくださり、音楽を通して、国籍を超えて他の人と交流できて嬉しい気持ちになりました。他にも、初日である20日には、ピオトル・バナシク先生による、透明感と色彩感溢れる素晴らしいシューベルトとリストのコンサート、24日と26日にも他の参加者の方々のコンサートが行われ、素晴らしい響きを堪能することができました。それと同時に、若い音楽家である他の参加者の方々の演奏は、自分にとって刺激的なものでした。

僕の演奏中の写真です。現地のカメラマンさんに撮っていただきました。クリアでありながらも潤いのある響きを実現できるホールでした。
カトヴィツェからワルシャワへ
27日、マスタークラスを終え、再びワルシャワに戻ってきました。そこで、大きなショパンの像があるワジェンキ公園へと向かいました。すると、なんと幸運なことに、日曜日の日中に2度だけ行われる野外コンサートを聴くことができました。多くのショパンの作品を華麗に弾きこなす演奏に感銘を受けました。また、驚いたのは、非常に多くの人がこの公園を訪れていたこと。そしてそれ以上に、それだけの人数がいるにも関わらず、人の声が聞こえない、静寂の空間になっていたことです。これは、日本で同じようなコンサートがあったとしても、ありえないことだと思います。それだけショパンは、ポーランド国民に、尊い存在として認識されているのだとわかりました。ショパンも生前、祖国愛が強い人だったとのことで、まさにショパンは、ポーランドを愛し、ポーランドに愛された作曲家だと感じました。


大勢の人の中で静寂に包まれるワジェンキ公園
おわりに
最後までご覧いただきありがとうございました。僕はこの約1週間、いろいろな面で音楽にどっぷりと浸ることができました。ここで得た経験を、これからの自分の演奏に反映させていきたいと思います。この度は素晴らしい機会をいただけたことを、改めて感謝申し上げます。